腕時計

というものを初めて持ったのは高校生になったとき。当時、周囲の風潮としては高校生になったら男の子だったら腕時計というのがあったのだ。その腕時計は程なく何処かで失くしてしまいえらく怒られた。

二十歳になったとき、もう大人なんだから腕時計くらいしなさいということで自分で買った。安物だったからというわけではないと思うけれどそれも程なく失くしてしまった。

社会人になったときも社会人なんだから腕時計くらいしなさいと言われて買ったのだけれどそれも程なく失くしてしまった。


 腕時計というのはどういうわけだかあまり好きではない。(時間なんて気にしねーぜ)という気障も少しあるのだけれど腕に何かしているのが邪魔臭いというのが正直なところ。この写真の時計は何かのおり仕方なく買ったクロノグラフで幸いにも紛失の災難にも逢わずに済んだ稀有なもの。電池が無くなって8時を過ぎたところで止まったままになっている。この8時は朝の8時。夏の暑い朝で見たときはもう止まっていた。記憶力が悪いクセにそんなことはなぜかよく覚えてる。
 へんな話、腕時計をするのは嫌いだけど時計の秒針が刻むチッチッチッという音が好きでこの時計も動いていたときは耳に付けてその音を聞くのが好きだった。年中そんなことをやっていたせいかいつの間にか秒を測る感覚が鋭くなって、今でも1分間くらいなら誤差5秒以内でカウントできる。
 そんなことで使っていたこの時計でも電池交換してまで使い続けようと思わないあたりがやっぱり嫌いな証拠だと思う。これも20年ほど前のことで以来腕時計というものを持ったことも無く過ごしてきているし今後も持つことは無いだろう。だからこれは生涯最後の腕時計ということになる。

 
 動かない腕時計なんてスグに無くなってしまいそうなものなのにこれは不思議と何処にも行かないで残ってる。久しぶりに左腕にして写真を撮ってあげた。